【狭心症を経験】
死を覚悟していたあのころを思うと、涙が出てきます。

宮崎県在住 田中ヨシ子さん(77)

教員の仕事を早期退職し、60歳で夢だった音楽教室をはじめた田中さん(77歳)。


音楽教室だけでなく、自然塾の活動やボランティアで中学校へ英語を教えに行くなど、多彩で活動的な女性だ。

しかし、そんな田中さんは約3年前に突然、死の恐怖すら覚えるほど「狭心症」の発作に何度も何度も襲われていた。

発作の頻度や薬を飲んだ回数など、狭心症の症状について隙間がないほどびっしり書かれた手帳を見ながら語ってもらった。

宮崎県在住 田中ヨシ子さん(77)※2023/3/17取材時

┃最初の異変は”胸やけ”のような症状

日ごろから運動や食事にも気を使い、健康そのものだった田中さんに突如異変が起こったのは2020年11月、74歳のとき。

日課の散歩の最中でした。坂道を上ったときに突然「うっ」って気分が悪くなるような、胸やけのような症状を感じることがあったんです。
最初はあまり気にしていなかったんですけど、日に日にその頻度が増えてきて…。

そのうちに「ぐぅっ」と胸を押さえ付けられるような圧迫感に襲われるようになったんですよ。不安になって12月にかかりつけの病院にいきました。

先生に”胸やけみたいに気分が悪くなる””坂道を上るとき胸に「うっ」と圧迫感がある” って伝えたら、「もしかしたら食道炎かもしれない」って。

食道炎の検査、胸やけの検査、あと24時間ホルター心電図の検査もしたんですけど、どれも異常なし。

でも原因がわからないのはどうしても不安だったから、
県内にあるほかの病院に行ってCT検査とカテーテル検査も受けました。

1週間の入院予定だったんですけど、2日で退院したんですよね。

┃突然襲ってくる発作の恐怖

医師からは「狭心症」と診断されるも、心臓に異常はなく、その原因は不明とのこと。 しかし、月日が経つにつれ症状は悪化していき不安は募る一方だった。

実は退院した日の夜に発作が出たんです。
おめでとう!ってお友だちの家で退院祝いをしてもらっているときに、突然「ぐうっ」って圧迫感が。

「顔が真っ青だよ?大丈夫?」ってみんな心配して、横になったんだけど呼吸が浅くなっていって、立ち上がることすらできなくて。

▲毎月起こった発作の回数を記録したメモを見せてくれた

今まで月に1回の発作だったのが2回、3回となり、多いときには6回もくるようになって…。
ひどくなったのは頻度だけではありません。日が経つほどに痛みの強さも増していきました。

予測できずに突然”ぐぅっ”と締め付けがくるので、「今日は発作がきそうだから」「調子が悪いから仕事休もう」「運動控えよう」とか用心のしようがない。

発作を経験した人にしかわからないかもしれませんが、ニトロを常に持ち歩いて、いつでもどこでも舐められるように台所、食卓、トイレ、車の中とか生活する場所の目立つところには必ず置いてました。

息子たちには「お母さん、いつ死ぬかわからないからね。
救急車も間に合わないしあなたたちが来たときは、目を閉じてるから」って伝えて。 大事な物の置き場所やお葬式の話しもしておいたんです。

一生懸命働いて、第二の人生まだまだこれからだと思っていたのに、私の人生後半めちゃくちゃじゃない!神様仏様いないの?って先行きが真っ暗でした。